大型のホタルで、成虫はオスで2cm以内、メスは大きなものは4cmになります。日本のホタルの中で最大級のホタルです。オス成虫は胸部が赤色で、翅は黒色です。胸部には一対の透明な部分があり、マド（窓）ボタルの名の由来となっています。メス成虫は赤みを帯びた肌色で、腹部が大きく、翅は退化して飛ぶことはできません。幼虫は黒く、白い斑紋があります。終令幼虫は極めて大型で、体長はオスで約3cm、メスは6cmを越えます。成虫・幼虫共に、とても明るく発光します（卵やさなぎも発光します）。

森林、御嶽、墓地など林のへりに多く見られ、林の近くにある耕作地、公園、人家、車道にも現れます。幼虫は、沖縄島では4月下旬から10月上旬にかけてが多く、少数は秋遅くから春先まで一年中みられ、夜間に地上を歩きまわるほか、樹木にも登ります。成虫は、沖縄島では10月～1月に出現し、11月中旬から12月中旬にかけて多くなります。

幼虫は、カタツムリなどの多種の陸産貝類（カタツムリ）を捕食します。成虫は何も食べずに繁殖に専念します。

侵入地の沖縄島には、在来種のオキナワマドボタルが分布します。成虫では、オキナワマドボタルは小さく（オス約1cm、メス約1.5cm）、また、オスの胸部のへりが黒くふちどられる点で、ヤエヤママドボタルとは異なります。

幼虫は、ヤエヤママドボタルは、①体が大きいこと（メスの終齢幼虫は最大で6cmを超える）、②胸部背板が細長く、両側が白く明瞭にふちどられること（オキナワマドボタルは幅広く、四隅だけが白色）により、オキナワマドボタルと区別できます。このほかに、ヤエヤママドボタルの幼虫の特徴としては、③足が黒く、足先だけが白いこと（オキナワマドボタル幼虫は白い部分が広い）、④第8胴節背板の側緣の白帯が左右に分かれること（オキナワマドボタルでは中央でつながる）があります。

成虫・幼虫ともに発光がとても強いことも本種の特徴です。

ヤエヤママドボタル幼虫とオキナワマドボタル幼虫の見分け方（写真素材提供：佐々木健志）

幼虫は多種の陸産貝類（カタツムリ）を捕食することがわかっています。樹上生の陸産貝類も捕食するため、在来の稀少種（アマノヤマタカマイマイをはじめとするヤマタカマイマイ類）を含む多くの陸産貝類に深刻な影響を与えています。

近縁なオキナワマドボタルと餌や生息地をめぐって競合し、排除してしまう可能性があります。

本種は林に近い耕作地や人家、公園にも広くすむ点でほかのホタルとは異なっています。幼虫は内部寄生虫をもつ場合があるカタツムリを食べることから、本種についても今後寄生虫の保有状況を確認する予定 です。

ヤエヤママドボタルは既に沖縄島中南部に広く生息しており、園芸・緑化などの資材等の移動に伴って、やんばる地域を含む沖縄島北部や、沖縄県内・県外の他地域にも拡散することが懸念されます。

沖縄島において、ヤエヤママドボタルの拡散防止に努めます。ヤエヤママドボタルの防除が必要な場所では、手捕り等により駆除を行います。周辺地域や生態系保全上重要な地域では、目視調査により生息状況を確認します。

フェロモンなどを利用した成虫・幼虫を対象とする効果的なトラップ開発など、様々な視点からの技術開発にも取り組みます。

ヤマタカマイマイ類など、希少な在来種の生息状況に影響が出ていないかどうかを知るためのモニタリングに取り組みます。

ホームページやチラシ配布等を通して本種の存在を県民へ周知するとともに、発見情報の収集や監視・調査に向けた協力が得られるよう取り組みます。造園等事業者を対象とした注意喚起・対策の指導を行い、人為的拡散防止に取り組みます。

ヤエヤママドボタルと思われる昆虫を発見した場合には、目撃情報投稿フォームから情報をお寄せください。