外来種問題と取り組み

グアムの事例に学ぶ-外来ヘビの対策

沖縄県では、ニュージーランドや台湾・グアムにおいて、外来種対策の手法を学ぶ視察を行いました。とくにグアムにおける外来のヘビ(ミナミオオガシラ)対策の事例は、グアムクイナ(飛べないクイナの仲間)を含む固有の鳥類を守るための取り組みが、長年にわたり続けられてきた点で特筆すべきものです。ヤンバルクイナなどを外来ヘビ類から守るための対策に取り組む沖縄県にとって、そこには学ぶべき点が多くあります。

グアムの野生生物保護区(Guam National Wildlife Refuge)の解説パネル。右から2つめがグアムクイナの説明

グアム島には第二次世界大戦後、樹上性のヘビであるミナミオオガシラが、(おそらくはニューギニアから何かの物資に紛れて)侵入しました。1960年代になると在来の鳥類が姿を消しはじめ、後になってその原因がミナミオオガシラによる捕食であることがわかりました。1960年代以降、グアムからは在来種の鳥類11種のうち9種がいなくなり、そのうち5種はグアム固有の種あるいは亜種でした。中でもグアムクイナは、1960年代以前はおよそ10000羽が生息していましたが、1980年代半ばには50羽にまで減ってしまいました。絶滅を回避するため、生き残った個体は捕獲され、保護下におかれることとなりました。その後、ミナミオオガシラのいない近隣の2島にグアムクイナが放され、定着することに成功していますが、グアム島における再導入にはまだ困難が多い状況です。
グアムでは、政府の研究者がミナミオオガシラの駆除手法および拡散防止対策の手法の研究と開発に取り組んでいます。対策費の支出は、農務省と海軍だけでもそれぞれ年間約4億円程度(350~400万ドル)に達しています。

ミナミオオガシラ
地質調査所の研究施設での飼育個体

捕獲する

グアムで使用されているミナミオオガシラ用のトラップ。マウスに誘引されたヘビが、筒の両側から内部に入り込む仕組みになっています。トラップは約1mの高さにしかけます。写真はマウスの格納部を開けたところです。マウスの餌とともに、水分補給用のジャガイモを入れます。

施設のフェンスにトラップを設置する農務省の職員。物資の保管エリアでは、約40mおきにこうしたトラップを設置しています。

農務省野生生物保護局のオフィスに設置されているミナミオオガシラの捕獲数を示すパネル。グアム全体では、年間約2万匹のミナミオオガシラが駆除されています。

侵入を防ぐ

野生生物保護区に設置されているヘビ・ネコ用フェンス。途中にふくらみを設けてヘビ返しとし、上部で粗い金網をオーバーハングさせることで、ネコの侵入を防止しています。グアムではこうしたフェンスで囲ったうえで、内部にいるヘビやネコを除去することで、在来鳥類の保護区を作り出しています。地元のある研究者は、これを「ミナミオオガシラの海の中に島を作る」ようなものと表現しています。

拡げないよう監視する

ミナミオオガシラ探索犬
探索犬とハンドラーによるミナミオオガシラ捜索のデモンストレーションの様子

グアムでは、ミナミオオガシラの分布がさらに拡がらないよう、拡散防止対策にも力を入れています。グアムの軍および民間の施設で、4時間以上物資を保管する場所では、出入りする物資は探索犬により24時間体制でチェックされます。とくにグアム国際空港・アンダーセン空軍基地・アプラ海軍基地は、対策上の重要地域とされています。
探索犬は、米本土の施設で保護された犬を訓練したものです。グアム全体では計24匹が、24人のハンドラーに率いられて活躍しています。探索犬により発見されるミナミオオガシラは年間5匹程度ですが、このヘビが他の地域へ拡散することを防ぐ重要な役割を果たしています。

成果を活かす

タイワンスジオ
タイワンハブ

グアム型トラップにより捕獲されたタイワンスジオとタイワンハブ

こうした視察で得た成果は、すでに沖縄県内で行われる対策に実装されています。たとえばグアムで使用されているトラップをもとに開発された「グアム型トラップ」は、タイワンスジオとタイワンハブの捕獲に有効であることがわかっています。