外来種図鑑

沖縄県は、県内の生態系や、県民の生活・社会活動への影響が大きい
以下の外来種について、重点的に対策をとっています。

アカカミアリ

Solenopsis geminata

働きアリ 環境省提供
分類:
昆虫綱 ハチ目 アリ科
和名:
アカカミアリ
学名:
Solenopsis geminata
英名:
Tropical fire ant
原産地:
北米南部~中米

アカカミアリは、米国南部から中米原産のフタフシアリ亜科のアリで、国内では硫黄島で定着しています。沖縄県内では沖縄島の米軍基地周辺、伊江島のレーダー基地、沖縄島の本部町の備瀬で確認された記録はありますが、現在、定着は確認されていません。

形態・生態

体長 3~5 mm、主に赤褐色のアリです。ヒアリと異なり、働きアリに頭が大きい兵アリがいます。腹柄が 2 節、後胸に棘がなく、触角先端部 2 節が棍棒状であることがヒアリ類(アカカミアリかヒアリ)の特徴です。
草地など比較的開けた環境に生息し、公園や空き地、畑地などに営巣し、土で塚を作りますが、ヒアリほど目立つアリ塚は形成しません。小型節足動物のほか、カイガラムシの出す甘露や、草の種子なども食べます。
毒性の強い針を有しており、刺されると激しい痛みを感じますが、ヒアリに比べると毒性は弱いとされます。


予想される侵入経路

生息地である東南アジア、中国、台湾などからのコンテナなどによって運ばれて侵入し、公園や空き地、畑地、草地など比較的開けた環境に定着する可能性があります。


想定される影響

小型節足動物を集団で攻撃し捕食したり、在来種と競合するなど、生態系へ影響を及ぼすことが懸念されます。

また、人が刺傷されると、激しく痛みを感じ、人によっては蕁麻疹や体調不良などのアレルギー症状がでることもあります。沖縄では1996年に、米兵が刺されてアナフィラキシーショックを起こした例があります。

さらに、農作物被害や家畜への刺咬被害によって、農業や畜産業への影響も懸念されます。


沖縄県の対策
アカカミアリの侵入監視

港湾地域などアカカミアリの侵入リスクの高い場所において、定期的に調査を実施し、アカカミアリの侵入を監視します。

アカカミアリが発見された地域からの排除

アカカミアリが確認された場合、発見された場所や状況によって異なりますが、設置型殺虫剤等による駆除を実施するとともに、誘引剤調査や目視調査により周辺地域での生息状況を確認します。また、可能な限り侵入経路を特定し、関係機関と連携して対策を検討します。

普及啓発

ホームページ、イベント、チラシ配布等を通して早期発見等の目的等を県民へ周知するとともに、発見情報の収集や監視・調査に向けた協力などが得られるよう取り組みます。

参考文献
  • 自然環境研究センター. 2019. 最新 日本の外来生物. 平凡社, 東京.