外来種図鑑

沖縄県は、県内の生態系や、県民の生活・社会活動への影響が大きい
以下の外来種について、重点的に対策をとっています。

セアカゴケグモ

Latrodectus hasseltii

環境省提供
分類:
クモ綱 クモ目 ヒメグモ科
和名:
セアカゴケグモ
学名:
Latrodectus hasseltii
英名:
Redback widow spider
原産地:
オーストラリア
指定項目:
重点予防種(沖縄県)、特定外来生物・緊急対策外来種(環境省)

形態・生態

成熟した雌の体長は約 7~15mm。全体が黒色で、腹部の背面に目立つ赤色の縦条があります。雄の体長は約 4~5mm で、腹部背面は灰白色で中央に縁取りのある白い斑紋があり、その両側に黒紋が 2 列に並びます。雌は毒牙を有しますが、雄は無毒です。

海岸から市街地の人工的な環境に生息します。日当たりが良く、地面のある広い場所であれば、コンクリート建造物や器物のあらゆる窪みや穴、裏側、隙間、管渠、アングル部分に営巣が可能です。

昆虫等を食べます。

産卵期は 5~10 月で、雌は網の中に 2~6 個の卵嚢をつけます。1 卵嚢中の卵数は 20~300 個です。卵嚢は直径約 1~1.5cmで乳白色です。

環境省提供
環境省提供

想定される侵入経路

沖縄県では未定着です。1996 年に米軍施設内のコンテナ内で確認されたことがあるものの、野外での定着は確認されていません。

既に西日本を中心に国内に広く生息していることから、コンテナ、パレット、建築資材、長期間駐車していた車両や自転車などに営巣したものが人為的に運ばれて侵入し、側溝、コンクリート建造物や器物などの窪みや穴、隙間等に定着する可能性があります。


メスはα-ラトロトキシンという神経毒を持ちます。咬まれると痛みとともに、熱感、痒感、紅斑、硬結をきたし、区域リンパ節が腫張します。通常は数時間から数日で症状は軽減しますが、時に脱力、頭痛、筋肉痛、不眠などの全身症状が数週間継続することがあります。重症例では、進行性の筋肉麻痺が生じることがあります。


沖縄県の対策

侵入監視

セアカゴケグモは既に国内に広く生息しており、コンテナや建築資材等の物資の移動に伴って、沖縄県内に侵入することが懸念されます。港湾地域などセアカゴケグモの侵入リスクの高い場所において、定期的に目視調査等を実施し、セアカゴケグモの侵入を監視します。また、広く県民からセアカゴケグモの情報を集めます。

発見地域からの排除

セアカゴケグモが確認された場合、速やかに殺虫剤等により駆除を実施するとともに、目視調査により周辺地域での生息状況を確認します。また、可能な限り侵入経路を特定し、関係機関と連携して対策を検討します。

普及啓発

ホームページ、イベント、チラシ配布等を通して早期発見等の目的等を県民へ周知するとともに、発見情報の収集や監視・調査に向けた協力などが得られるよう取り組みます。

参考文献
  • 自然環境研究センター. 2019. 最新 日本の外来生物. 平凡社, 東京.