外来種図鑑

沖縄県は、県内の生態系や、県民の生活・社会活動への影響が大きい
以下の外来種について、重点的に対策をとっています。

アルゼンチンアリ

分類:
分類:昆虫綱 ハチ目 アリ科

体長 2.5~3 mm 程度の小型のアリです。体色は薄い黒褐色から茶褐色です。厳密な同定には実体顕微鏡が必要ですが、多くの働きアリが行列を作って敏速に活動することや、押しつぶすとかび臭いにおいがすることが特徴になります。
わずかな空間を利用して営巣することが可能であり、積荷や鉢植えなどの中に侵入するため、非意図的な侵入が起こりやすい種類になります。雑食性で、節足動物のほか、アブラムシの出す甘露や植物の花蜜など、きわめて多様な餌を摂食しています。

環境省提供
環境省提供

想定される侵入経路

県内には未定着。

国内では 1993 年に広島県で定着が確認されて以降、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、岐阜県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、山口県、徳島県の 12 都府県で生息が確認されています。国内の生息地から、木材、コンテナ、切り花、園芸植物、園芸資材などによって人為的に運ばれて侵入し、定着する可能性があります。


想定される影響

競争力・攻撃性が非常に高く、その侵入地では在来のアリの種類が著しく減少するなど、生態系へ被害を与える可能性があります。

行列を作って屋内に侵入し、不快害虫にもなります。

農作物の芽や蕾、花等を傷つけたりすることで、農業への被害も懸念されます。


沖縄県の対策

アルゼンチンアリは国内で分布を広げていますが、沖縄では定着は確認されていません。既にアルゼンチンアリが生息している国内の他地域から物資とともに侵入してくることが懸念されるため、侵入リスクの高い港湾地区などで調査を実施し、また県民等から情報を収集することでアルゼンチンアリの侵入を監視します。アルゼンチンアリの侵入が確認され場合、関係機関と連携して速やかに対応します。

侵入監視

港湾地域などの侵入リスクの高い場所において、定期的に調査を実施し、侵入を監視します。また、広く県民からアルゼンチンアリの情報を集めるため、アルゼンチンアリの見分け方を検討し、普及啓発に取り組みます。

発見された地域からの排除

アルゼンチンアリが確認された場合、発見された場所や状況によって異なりますが、設置型殺虫剤等による駆除を実施するとともに、目視調査や誘引剤調査により周辺地域での生息状況を確認します。また、可能な限り侵入経路を特定し、関係機関と連携して対策を検討します。

普及啓発

ホームページ、イベント、チラシ配布等を通して早期発見等の目的等を県民へ周知するとともに、発見情報の収集や監視・調査に向けた協力などが得られるよう取り組みます。


参考文献
  • 自然環境研究センター. 2019. 最新 日本の外来生物. 平凡社, 東京.