分類:鳥綱 キジ目 キジ科

和名:インドクジャク

学名:Pavo cristatus

英名:Common Peafowl

原産地:南アジア(インド・スリランカ・パキスタン・バングラデシュ等)

指定項目:重点対策種(沖縄県

形態・生態

 雄は全長180~230cm 、頭は金属光沢のある青色で、扇状の青い冠羽があります。目の上下には白い帯が入り、上胸は青色、背は金属光沢のある緑色、下胸、腹、腰は黒緑色です。雄の金属光沢のある緑色の上尾筒は 120cm 以上に達する飾り羽になっていて、周りが赤銅色で中が青色の目玉模様があります。雌は全長 90~100cm で、全体的に茶色っぽく、上尾筒の飾り羽がありません。 雄は 3 年、雌は 2 年で成熟し、寿命は 20~30 年に達します。一夫多妻で、小さな群を作ります。産卵期は春で、 6~8 個の卵を産みます。

 森林、草原、農耕地に生息し、夜は樹上で休みます。食性は幅広く、穀物、果実、草や葉、昆虫、陸生貝類、小型の両生類や爬虫類、哺乳類などを食べます。

沖縄への侵入経路とその分布

 本種が県内に侵入した原因は、1970年頃に新城島の観光施設で飼育するために持ち込まれ、それが管理放棄された結果、野外へ逸出して増えたことでした。その後一部の個体は小浜島のリゾート施設で飼われるようになり、小浜島では逃げ出したものが増えることとなりました。また、1990年代にはその他の島の小学校などで、小浜島などで増えた個体が飼育されるようになり、それが台風等で逃げ出して各島で定着することとなりました(田中・嵩原 2003)。西表島では1990年代から2000年代初頭にかけての目撃例があり、観光施設で飼われていたものが逃げ出したか、小浜島から持ち込まれた、あるいは飛来したと考えられています(田中・嵩原 2003)。

県内の分布(赤色):先島諸島(宮古島,伊良部島,石垣島,小浜島,黒島,新城島,西表島,与那国島)

過去に侵入があった島(黄色):西表島

生態系への影響

 植物の芽・種子・果実・やさまざまな小動物を食べることから、希少種の捕食や在来鳥類等との生態的競合が懸念されています。また、小浜島や黒島において、トカゲ類を捕食して減少させた可能性が示唆されています(田中 2004)。これまでに黒島・新城島・石垣島でインドクジャクの胃内容物が調べられ、植物質を主体としながらも、昆虫類・クモ類・陸生貝類・爬虫類の捕食が確認されています。そのほかにも、農作物への食害が報告されています。

沖縄県の対策

 沖縄県では平成28年度から令和元年度までインドクジャクの防除技術を開発し、令和2年度からは防除計画に基づいて対策を実施しています。目標は西表島への拡散防止で、黒島において低密度化を目指して空気銃等による捕獲や、探索犬を用いた営巣卵の除去を行っています。 

ギャラリー

参考文献

  • 国立環境研究所. 2011-2020. インドクジャク . 侵入生物データベース .
    https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/20400.html
  • 田中聡. 2004.小浜島における両生類・爬虫類の現状について.沖縄県立博物館(編)小浜島総合調査報告書,pp. 21-33. 沖縄県立博物館,那覇.
  • 田中聡・嵩原建二. 2003. 先島諸島における野生化したインドクジャクの分布と現状について . 沖縄県立博物館紀要 29: 19-24.